大河氏は私の羊飼い

このブログはフィクションであり、実在する大河氏とその周辺人物にはいっさい関係がない。

大河氏ら、近況を報告し合う

 

 

 

 

 

昨日、中学時代の旧友の3人と再会した。

 

 

再会と言えど、リラックマ会長氏は2日前に一緒に映画を見に行ったし、カグラザメ氏(19)は家が近いからしょっちゅう出くわす。

 

東京理化学研究大学に通うウーパールーパー氏(19)は葛飾区に住んでいるからあまり会うことは無いし、大河氏はそもそもコイツに会いたいとは思ったことは一度たりともない。昨日もお呼びでないのに勝手に来た。

 

 

 

4人は伊勢原駅で落ち合うと、長居できる店を求めて彷徨った。ウーパールーパー氏はある格安イタリア料理店を提案したが、大河氏が断固拒否した。大河氏は、「和食が食べたい」と主張し、明治政府の欧化政策を批判した。

 

 

結局、4人はリラックマ会長氏の提案により別のイタリア料理店に向かった。大河氏は、ミートドリアを熱がりながらも美味しそうに頬張った。

 

 

 

 

ウーパールーパー氏とも、中学卒業後も数回だけ会っている。が、我々が20歳を目前にした今、彼が中学卒業時と比べて驚くほど変化していないことがわかる。むしろ、年齢相応の一般的な成長を遂げてきた我々3名と比べると、ウーパールーパー氏が変化してしまったとも言える。

 

 

 

 

ウーパールーパー氏はフランス語を学んでいると言った。大河氏も大学でフランス語を学んでいる。しかし、フランス語の知識ではウーパールーパー氏が優っていた。大河氏は、「フランス語の授業で学んだのはフランス語ではなくフランスの文化である」と言い訳した。言語はそれが使用される地域の文化や歴史を表すから、大河氏の言い訳には筋が通っている。大河氏があまりに言い訳を繰り返すから、ウーパールーパー氏は大河氏が正しいことを認めた。

 

 

 

 

 

 

カグラザメ氏は連敗を喫している最中である。何に破れているのかと言えば恋である。カグラザメ氏は既に就職していて、そこには出会いがないと愚痴をこぼした。大学に通う3人を羨んでいた。どうやらカグラザメ氏は誤解しているようだ。大学に通っていても異性との交流などない。

 

カグラザメ氏は旅行先の立ち食い蕎麦店の女性に声をかけてみたり、絵画コンテストで共に入賞した女性をデートに誘ってみるなど、行動力には定評がある。大河氏もこの行動力には尊敬の念を抱いている。ウーパールーパー氏は「気持ち悪い」としてカグラザメ氏の行動を批判したが、科学に没頭して道を踏み外したウーパールーパー氏よりもカグラザメ氏の生き様のほうが真っ当なものである。科学に没頭することは犯罪であるが、意中の女性に敬意を払って近づこうとすることは犯罪ではない。

 

 

カグラザメ氏よ、吉報を待つ。

 

 

 

 

 

 

 

不意にリラックマ会長氏が「京都に行きたい」と言い出した。すると大河氏は「フランスに行きたい」と言った。カグラザメ氏は、地理的条件から大河氏の主張を支持した。当時彼らがいたのはイタリア料理店であったから、京都よりもほど近いフランスを旅行先に選ぶのは当然である。リラックマ会長氏は不貞腐れて眠ってしまった。

 

イタリア旅行の行程をカグラザメ氏と話していると、突然ウーパールーパー氏が「イタリアにはイタリアしか見どころがないが、京都には下鴨神社、鴨川デルタ、下鴨幽水荘など見どころが沢山ある」と言った。カグラザメ氏と大河氏はこの意見に同意し、京都旅行の計画を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、生産性のある話を一切しないまま4人は店を出た。リラックマ会長氏はピッツァの食べ過ぎで吐き気を催していたので、大河氏はそっと4人から離脱して自宅へ避難した。リラックマ会長氏、お大事に。

 

 

 

 

 

 

 

友人思いの紳士